文章を書く練習

文章を書く練習をします。見たもの読んだものの感想

「さんかく窓の外側は夜」ヤマシタトモコ:オカルトサスペンスエロ

さんかく窓の外側は夜 1 (クロフネコミックス)

 

私は高校生の時に面白いと思える少女漫画が少なくなってしまい、ターゲットである少女のはずなのに見放されてしまったような絶望感を味わっていたのですが、ヤマシタトモコいくえみ綾に出会って救われた経緯があります。(今思えば別にいわゆる少女向け作家ではないけれど、「この人の作品買っておけば間違いない」と思えたのが嬉しかった)

 

なのでヤマシタトモコ作品は割と読んでいてこの作品の存在も知っていたけれど、当時はBLに手を出すことに気恥ずかしさがあったので避けていました(かわいいな〜)

最近違国日記を読んでやはりヤマシタトモコ良い…と思っていた折に、映画化で賑わっているのを見かけたので読んでみた次第。あと作品自体はBLレーベルだけど、8巻時点でラブもセックスも無いバディものです。

(3月発売予定の10巻で完結) 

 

[あらすじ]

幼い頃から不気味なものが見えてしまう霊感を持った三角(みかど)が、除霊師の冷川(ひやかわ)にその能力を買われ、強引にコンビを組まされる。人としての諸々が欠落している冷川と共に除霊業務を手伝っていくうちに、とある殺人事件にたどり着く。

 

まず大前提として除霊のような魂が触れ合う行為には快感が伴うというアホエロ設定があります。オカルトのお供として最高。なぜなら人間は恐怖を感じるとエロを求めるようにできているので。(甘いのしょっぱいの理論)

 

2人の間に恋愛感情はないのですが、三角くんの魂を経由して除霊が行われるので、三角くんは都度失神するほど気持ちよくなりながら仕事をすることになります。(そんなばかなと思いつつ、まあオカルトだしそういうものだよ、でねじ伏せてくる)

ただ主軸はきちんとオカルトサスペンスなので、エロは口直し程度のバランスにおさまっているし、怖さに関しても読後のシャンプーに支障が出ない程度の後味の軽さなのも良い。(「青野くんに触りたいから死にたい」は完全に支障が出る)

 

途中から2人と同じ「普通じゃない側」の女子高生エリカちゃんが出てきてくるのですが、この3人にはそれぞれ親に捨てられたような体験があり、サスペンスが進んでいくにつれてその過去が紐解かれていくような構成です。

主軸のサスペンスもまあ普通に面白いが、一番の見どころにしているのは三角と冷川の共依存関係なので、これはバディというよりブロマンスものなのかもしれない。

 

幼い頃から自分にだけ怖ろしいものが見えていて、人一倍怖がりなのに誰にも助けを求められなかった三角が、初めて自分と同じようにものが見える冷川に出会う。今まで見えるものを見ないフリをし、見えるものの恐怖から仕事も諦めていた三角にとって、同じものを見ている、助けを求められる冷川の存在は拠り所になっていく。

一方冷川はずっと自分の「運命」を探しており、三角の能力と自分との霊的相性から三角を運命だと信じている。冷川自身には倫理と情緒が欠落しているため、三角に対してはかなりモノ的な執着を見せている。

「理由がないことよりも、相手が正当だと主張する理由が自分に理解できないことの方がよほど耐え難い」と言う冷川にとって、社会的なあるいは三角が大事にしている倫理観を理解することは苦難である。

 

霊能力を通して2人は共依存関係になっているが、お互いの倫理観と価値観がかけ離れているためその歪さが露わになってきているのが今で、それがあと2巻でどうにかなっていったりどうにもならなかったりするのかなあと思います。

完結まで読んで思うところがあったら追記します。

 

 

ちなみにヤマシタトモコに関しては、色気のある中年男性と男顔で含みのある美人を描かせたらピカイチと思っているのですが、違国日記ではなんとその2つが同時に楽しめます。

もう少し巻数進んだら別途感想書くけれどこちらもおすすめ…大人と子供の共同生活の話です

違国日記(1) (FEEL COMICS swing)

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