文章を書く練習

文章を書く練習をします。見たもの読んだものの感想

「ハイキュー!!」古舘春一:敗者たちのこれから

ハイキュー!! コミック 全45巻セット

 

久々に生活を侵食されるくらいハマっている漫画がありまして…ハイキューっていうんですけど…

私はスポーツへの興味も素養も無い、何回説明されてもサッカーのオフサイドが分からない人間ですが、素直にバレーボールってこんなに面白いのかと熱くなれる漫画です!すげ〜!  

(45巻完結)

 

[あらすじ]

かつての烏野高校エース「小さな巨人」に憧れる主人公日向は中学バレー部で恵まれない3年間を過ごし、ようやく出場した公式戦で天才セッター影山が率いる強豪校に惨敗する。影山へのリベンジを掲げて烏野高校へ入学するも、そこには影山もおり、反発し合いながらも烏野メンバーと共に全国優勝を目指していく。

 

 

キャラクター配置の巧さ

  「猪突猛進型な主人公が天才ライバルとバチバチしながら切磋琢磨する」というザ・王道な導入から始まります。

しかしライバルである影山はクールキャラと見せかけた単細胞バカで、日向も同様に単細胞なので(だからこそ影響しあえる2人ではあるものの)、これだけだと単調だし読んでる側も置いてけぼりになってしまう。

そこでもう1人月島という、身長にもセンスにも恵まれているが日向たちほどバレーに熱中してない、少し距離のある冷静なキャラクターが出てくる。

初めの方はすぐ辞めそうな新卒的不安定さがあるが、「たかが部活でしょ」という彼が周囲に影響を受けながらバレーにハマっていく姿は感慨深く、ここに温度の違うキャラをおいたことで烏野の成長を一緒に追いかけていける読み応えが生まれています。

 

 

熱いバレー描写

そして当たり前のようにバレーの描写がめちゃくちゃ良い。レシーブの静寂もスパイクの威圧も、最終セットの緊張感もビリビリ伝わってくる。普通に漫画がうまい…

相手高校の強さを様々な手法で表現しているからこそ、ずっと緊張感を持って読める。

 

あとバレーにはローテーションがあって人の配置がぐるぐると変わるので、アニメの方が試合の状況は分かりやすいです。漫画で理解するには複雑すぎる。

しかし表現としては漫画もかなり素晴らしい…コマ割りに躍動感があるし、擬音の表現にも工夫があって見ていて飽きない。この漫画表現のよさは最終章でかなり極まっているので是非…

(399話〜400話 妖怪大戦争が本当にかっこいい…今まで書いてきたバレー表現の集大成という仕上がりで、読むと精神が浄化されます。横断幕演出も見開きスパイクも全部好き…)

 

チームと多様性

そもそもバレーボール自体が非常にチーム性が強いスポーツなので「チームでどう勝つか」「チームがどうあるべきか」が常にあります。各校の横断幕の言葉が上手くチームを象徴していて良い。

しかし高校生たちにはチーム以前に各々異なる性格があるので、自分たちのチームを体現するため・勝つためにそれぞれがコミュニケーションを頑張っています。これだけでニコニコしてしまう。

コミュニケーション云々って高校生で読んでもあんまりピンと来なかったと思うので、社会人になってから読んだことで刺さるポイントも多い気がする。チームの仕事に悩みがある人、その辺のビジネス書買うよりも管原パイセンの言動を見た方がタメになる…まじで人間ができてる。

*管原パイセンは烏野の3年生で、影山にレギュラーポジションを取られてしまうが常にチームがどうしたら勝つかを考えて行動している最高の先輩。試合中のメンバーチェンジで影山に対して「勝てよ」でなく「勝つぞ」と声をかけるのがそれを表している。影山は管原に出会えて本当によかったね…よかった…

 

そしてみんな各チームのコンセプトをぶつけ合って戦うのですが、どこかで負けます。全国常連のようなド強い高校にも試合で負ける描写が結構ある。

ここにいる選手たちの中に 誰1人として負けを経験しない者などいない

強者ほどより上の強者に打ちのめされる

挑むものだけに勝敗という導と その莫大な経験値を得る権利がある

負けた先で自分がどうするかという選択とその多様性を描いたことも、時代的だし良いなと思う。選択と多様性みたいなのはあんまり言うと鬱陶しいものだが、バレーボールそのものを魅力的に描き切ったからこそ、全員の選択が尊いものだと感じる。

 

敗者たちのこれから

ハイキューをただのバレー漫画でなくしているのは、部活に白熱していた高校生たちの人生が温度を下げずに美しく続いていくところです。

スポーツ漫画で想定される結び方、部活でいいところまで行ってメインキャラはプロになっていたりするのが最終話で明かされる くらいだと思うのですが、ま〜みんながちゃんと大人になる。

もちろん全員がプロになるわけでもなく、それぞれの形でバレーに触れていたり触れていなかったりしつつ、ああちゃんと全てが糧になってるのだなと伝わるような締めくくりです。親戚のジジババの比じゃない感慨深さが味わえます。

負けは今の力の認識であっても 弱さの証明ではない

君たちのなにもここで終わらない これからもなんだってできる

高校バレーのその先にも人生が続く。

どんなに強くともずっと勝ち続ける者などいない。敗北を経験した上で彼らは何者になるのか。

バトル漫画だとどうしても生死と勝敗が直結しがちなので「勝ち以外は死」みたいになりがちだが、負けた上で何をするかをきちんと描けるのがスポーツ漫画のいいところですね。(テニスは死人が出るらしいが)

 

ただ、本当にここまで描き切るのは愛なしには成り立たないはず…一時期人が死ぬ漫画ばかり読んでいたので慈悲深さが沁みる(最終章は何度読んでもありがとう…ありがとう…と拝んでしまう)

 読んでいてキャラクター全員が愛おしいなと思えるのは、チーム内外問わず全員にバレーを通した信頼関係があるからで、試合中は敵だけれど皆バレーが好きな人間であるというのが根幹にあり敵同士だからこそお互いの強さへの信頼がある。

 

書けば書くほど尊い

高校卒業したらみんな一人暮らしとかするのかな…自炊するのかな…と思ったら止まらなくなったので、最後に妄言を書いて終わります。

 

<プロになった勢は最終的にちゃんとするだろうが年頃の男は自炊なんかせんやろという偏見ベースによる、みんなの自炊>

 

澤村 もっぱら食べる専門。就職してからは自炊し始める。なんでも美味しく食べる課

東峰 こだわりが強いのでやたらお金をかけて自炊する。作ってもらったものがまずい時は無言で食べる。

管原 あんまり作れない。なんでも食べるが味覚が雑なので作り甲斐はない。

西谷 肉をちょうどいい具合に焼く検定一級。洗い物しない。

田中 烏野で一番料理スキルが高い。鉄のフライパン育ててる。

月島 唯一サラッとこなせないものが料理であって欲しい。

影山 雑に一応こなす。包丁使わない。味付けは2パターン。

日向 商店街のジジババを味方につけているので常に美味い食材が安く手に入る。

黒尾 おばあちゃん仕込みの料理スキル。食の好みがOL。外食より家で食べる方が好き。

孤爪 米は自分で炊ける。

夜久 作らないが口は出す。

海  コストと栄養バランスを考えて料理できる。フォロワー5000くらいいるメシアカウントがある。

木兎 やらせたらそこそこできる。なんでも美味しく食べる課

赤葦 自分が作ったもので体調を崩す。会社に入ってようやく料理スキルがやばいことを自覚する。

木葉 梟谷の中では一番料理上手だが、本人にその自覚はないし周囲にも認知されてない。

岩泉 作れるおかずは3種類。洗い物を率先してやってくれる。

及川 自分で調合した大してうまくないスパイスカレーなどを振る舞う。

松川 自炊しない。奢ってくれる人や料理してくれる人が常にいるので何も困らない。

花巻 ヒモ検定一級の腕前

宮侑 女受けが良くて手間のかからないアヒージョなどをやたら作る。

宮治 人ん家では絶対に料理しない。電熱線タイプの一口コンロを見ると発狂する。

北  白ごはん.com ヘビーユーザー

角名 自炊しない。キッチンに本が積んであるしガスコンロ買ってない。

 

最近は毎日こんなことばかり考えて過ごしているのでハッピーです!

ありがとうハイキュー!